「人間のからだと発達」~月経について~
昨今、「性教育」という言葉を耳にする機会が多くなってきました。
性教育の内容は、本当に幅広いのですが、日本の学校で最初に学んだ経験のある人は、「月経」をテーマにしたものが比較的多いのではと感じております。小学校高学年になり、宿泊学習の前などに女子だけを集めて説明を聞くことが多かったのではないかと思います。
では、私たちはなぜ月経を学ぶのでしょうか?からだは、思春期を境にどのように発達していくのでしょうか?
月経とは?
思春期になると、性ホルモンの影響で、からだには様々な変化が起こります。多くの女性は思春期になると月経が始まります。「生理」という言葉を使う(聞く)ことが多いですが、医学的な用語では「月経」と言います。
月経は、生物学的には妊娠するしくみが整ってきたことを意味しています。人間は、子どもを産む、産まないは自分の生き方の中で選択できます。妊娠しないからだの人もいます。
女性の身体の仕組み
では皆さん、女性の内性器にはどんなものがあるのか、位置はどの辺りにあるかご存じでしょうか?おへその下辺り、鶏の卵くらいの大きさで位置していますよ。出産後数日は、皮膚の上から実際に触ることもできるんですよ!!
卵子は「卵巣」というところでつくられます。卵巣は通常2~3cmくらいの大きさで子宮の左右に1つずつあります。
女性の多くは、生まれる前から卵巣の中に卵子のもとを持っています。胎児期には700万個、生まれたときには200万個に、思春期になると20~30万個、年とともにその数はどんどん減っていきます。卵子の大きさは0.1mmで、人間の細胞で一番大きいのです。その中には、遺伝子を持つDNAが入っているんですよ!!
ホルモンによって、卵巣の中で成熟した卵子が1ヵ月に1つ放出されます。このことを「排卵」と言います。排卵にあわせて子宮内膜が少しずつ厚くなります。卵子の寿命は24時間(1日経過すると自然消滅します)
排卵後、受精卵が着床しなければ、12~16日で子宮内膜は子宮口、膣を通って外に出ます。この現象を「月経」と言います。
出てくるものは「経血」と言い、ケガをしたときの血液とは違い、50%は子宮内膜の組織や分泌物が混ざって、3日~5日かけてゆっくりと膣から外に出ます。経血は、1度の月経期間中に20~140ml。多くの場合25日~38日に1度のペースで月経が起こりますが、個人差が大きくあります。
卵巣と子宮がある人の多くには、月経が起こります。初めての月経を「初経」と言います。12歳ごろが初経の平均と言われていますが、9歳~16歳の幅があり、個人差があります。もし、16歳を過ぎても月経が来なければ婦人科(女性クリニック)に相談することをおススメいたします。月経は、35年~40年間(50歳ごろまで)で400回くらいあります。長く付き合うことになるので、できるだけ快適に過ごす方法や色々な生理用品など、自分に合うものを見つけたいですよね。
参考文献:実践包括的性教育_著者:桶上典子・艮香織・田代美江子・渡辺大輔
イラスト出典:illustAC