ピルってどんな薬?

2023年2月23日

ピルってどんな薬?

みなさんは、ピルと聞いてどんなイメージをもっていますか?
「ピルってからだに悪い」「ピルって太る/体重が増える」「副作用がキツイ」「血栓症で死んでしまう」などの話は聞いたことありませんか?
このように、ピルにはマイナスイメージの言葉がついてまわることがよくありますが、コレって本当なのでしょうか?
まずは、ピルがどうやって誕生したのか、その背景を見てみましょう。

1.ピルの誕生

ピルが誕生したのは、今からおよそ半世紀以上前のこと。当時アメリカでは、人工妊娠中絶が繰り返されていいました。女性運動家マーガレット・サンガー女史は、そんな状況から女性たちを救うために立ち上がり、女性自身が使える避妊具ペッサリーの普及に努めていました。しかし、なかなか実現することが難しかったのです。

1950年、ニューヨークでのある晩餐会に出席した彼女は、そこで、グレゴリー・ピンカス博士と出会いました。サンガー女史は博士に「女性自ら簡単に行うことができる確実な避妊方法はないものか」と相談を持ちかけたそうです。ピンカス博士は妊娠している間に排卵が起こらないのは、その期間に大量に分泌される黄体ホルモンの影響であると考え、避妊への応用を思いつきました。その後、1960年、アメリカにおいて世界で初めてピルが発表されましたが、副作用との闘いやホルモン量を少なくするための様々な工夫を繰り返しながら、多くの女性がより安全に服用できるために「低用量ピル」とよばれる非常にホルモン量の少ないピルができたのです。

1999年9月、アメリカから遅れることおよそ40年、ついに日本でも「低用量ピル」が発売されました。日本では、ピルはまだまだ歩き始めたばかりですが、コレをきっかけに改めて女性自らが性と生殖に関する正しい情報をキャッチし、考え語り合っていく時代が始まったのではと感じています。

2.ピルとは

ピルには、月経周期をコントロールしている女性ホルモンが含まれています。女性ホルモンとは、卵巣から分泌されているホルモンで、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類があり、私たちのからだの中にもともとあるものです。
ピルには、いくつか種類がありますが、その中でも低用量ピルは、上記ホルモンを含む薬で、一日一錠決まった時間に飲み続けることで、様々な効果をもたらしてくれます。副作用が少ないことも特徴です。

 

3.低用量ピルの効果~代表的なものアレコレ!~

3-1.避妊

卵巣を休んだ状態に保ち、排卵が抑えられることで、妊娠を防ぎます。その他にも子宮内膜を厚くしないので、妊娠しにくい状態になる。粘液の性状を変化させて、子宮内に精子が入りにくくするという作用もあります。99%以上の避妊効果があり、女性が自分自身で避妊できる方法です。

3-2.生理の出血が減る

経血量が減り、生理が続く日数も短くなる。(貧血が改善することもあります)

3-3.生理痛が軽くなる

経血が少なくなり、痛みも軽くなります。

3-4.生理の周期が安定する

ピルの内服に合わせて決まった周期で生理がくるようになります。

3-5.生理の日をコントロールできる

生理のタイミングが把握できるため、予定が立てやすくなります。旅行や試験、大切な用事と重なりそうな時は、生理をずらすことができます。

3-6.生理前の不調が軽くなる

ホルモンバランスが安定することで、生理前のイライラや頭痛などのPMSとよばれる症状を改善できることもあります。

3-7.その他

ニキビや多毛症の改善、卵巣がん、子宮体がん予防(ピルを飲んでいると、これらのがんになる可能性が低くなるといわれています)、骨盤内感染症(卵管、卵巣、子宮内膜などの炎症、不妊の原因になることもある)の減少や良性の乳房疾患の減少などもメリットとして言われています。

 

では、次はピルの副作用について見てみましょう。

4.ピルの副作用

 ピルには、代表的な副作用が2つあります。

4-1.吐き気、おう吐、頭痛、乳房の張り・痛み、不正出血注1)

これらの症状のほとんどは、最初の1~2ヶ月目に起こります。
ただし、これらの多くは症状も軽く、飲み続けていくうちにおさまります。
注1)不正出血:不規則に起こる、月経とはことなる出血

4-2.血栓症注2)

ピル服用中に血栓症があらわれることがあります。血栓症は非常にまれな副作用ですが、ときに生命に関わることがありますので、ピル服用中は血栓症の症状に十分注意してください。また、タバコを吸う人がピルを飲むと血栓症の危険性が高くなりますので、ピルを飲む場合は禁煙しましょう!
なお、血栓症リスクに関連して、40代以上の場合はピルの処方を受けられない場合があります。
注2)血栓症:血管の中に血の固まりができ、血液の流れが悪くなる状態

4-3.ガンとの関係

ピルを飲んでいると、乳がんや子宮頸がん注3)になる可能性がわずかに高まると言われていります。しかし、ピル服用中でも定期的に検査を受けていれば、これらの早期発見が可能です。一方、ピルを飲んでいると、卵巣ガン、子宮体ガンになる可能性は低くなると言われています。
注3)子宮頸がん:子宮の入り口にできるガン

 

上記のような様々な症状や、その他気になることがあれば、処方してもらった病院に相談してみましょう。ピルの種類を変えて様子を見るなど、色々な方法があります。

5.ピル服用中の心がけ

【血栓症の症状】:服用を中止し、すぐに救急医療機関を受診しましょう!
・突然の足の痛み・張れ
・手足の脱力・まひ
・突然の息切れ
・押しつぶされるような胸の痛み

【こんなときにも気をつけて】:医師に相談・報告しましょう!
・月経量の変化、乳房通、吐き気、頭痛、片頭痛、皮膚や白目が黄色くなる、動悸などが長く続く場合
・激しい下痢、おう吐が続くとき(ピルの避妊効果が弱まります)
・2周期続けて月経が来ないとき。正しく服用ができず月経がこないとき(妊娠の可能性があります)

【服用中は禁煙を】
・血栓症のリスクが高まる
・心筋梗塞、がんなどの病気のリスクが高まる

6.ピルはどこで入手できるの?

産婦人科を受診して、医師に処方してもらう必要があります。最近では、オンラインで産婦人科医に相談して、オンラインでピルを処方してもらえるようなシステムもあります。
値段は、医療機関にもよりますが、1ヵ月2000円~3000円前後であることが多いです。

ピルについて、色々とご紹介しましたが、女性にとっては長く付き合うことになる生理です。
できるだけ、快適に過ごすためにピルの服用以外にも、色々な方法など自分に合うものを見つけたいですよね。

引用・参考文献:教えて!ピルのこと
10代の妊娠
CHOICE
イラスト:無料イラスト素材集 性教育いらすと

 

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