みなさん、こんにちは。
日頃はつながり支援ピアサポートとくしまの活動に興味をもってくださりありがとうございます。
今日はいつもと少し趣向を変えて、私の愛読書を1冊ご紹介したいと思います。
1999年の日本SF対象受賞作『チグリスとユーフラテス』/新井素子
タイトルから古代文明を連想するかも知れませんが、実は未来文明のSFクロニクル小説です。
地球からの惑星間移住によって拓かれた惑星ナインのつかの間の文明繁栄と終焉の物語。
惑星で最後の人類となり一人取り残された最後の子どもルナ。
彼女は、それぞれの理由によりコールドスリープを選んだ
自分より先の世代の人たちを順番に起こしていきます。
一縷の望みを抱いてコールドスリープを選んだ女性たちが目にしたのはもうすぐ終わる世界。
長い眠りから目覚めた彼女たちはコールドスリープに至るまでの回想をしながら問います。
自分の人生は一体何だったのか…?と。
生まれた時代、生まれた家柄、
他者から見れば恵まれている環境で生きていても抱えているモヤモヤ、
社会からのプレッシャー、コミュニティ内の不条理、足りないコミュニケーション、
これは未来の架空の物語でありながら、今を生きる私たちとどこかでリンクします。
そして無意識にそれが自分だったら…と考えてしまいます。
私たちたちはいまSDGsやエシカルという考えのもと、
多くの国、企業、人々が持続可能な社会の実現を模索しています。
小説が発売された1999年頃はこういった考え方はまだ浸透していませんでした。
20年前の小説を足がかりに今の社会を考え、
20年後の社会を想像するきっかけになればいいなと思いこの小説をご紹介しました。
文庫本で上下巻のボリューム、SFはあまり読んだことがないという方でも、
新井素子さんの親しみやすい文体で意外とスイスイ読み進めることができると思います。
もし気になったらぜひ手に取ってみてくださいね。
(文責:マキ)