忘れられない言葉

みなさん、こんにちは。

10月も後半に入り、今年も残り1ヵ月強となりました。ここ数年は、充実しているせいなのか、あっという間に1年が過ぎていくように感じます。

さて、「私には、帰る国もない、帰る場所ももう無い・・・」これは、私が忘れられない一人の女の子の言葉です。彼女との出会いは、数年前のカンボジアのレストランでした。仕事で何度か訪れていたレストランでしたが、彼女に会ったのはその日が初めてでした。クメール語(カンボジアの言語)を話せない私は、カンボジアでの会話は英語が中心でしたが、彼女とはうまく会話をすることができませんでした。

隣にいた友人が、クメール語で彼女と何か話をしていました。席を離れる時に、彼女は笑顔で「食事を楽しんでね」と言ってくれたのを聞き取ることはできました。彼女がテーブルを離れてから「彼女、弾圧を受けてウィグル自治区から避難してきたみたい」「英語は、ゆっくり、はっきりと話すと理解できるみたい」と友人が教えてくれました。私は、再度テーブルにやってきた彼女に年齢を聞いてみました。「15歳になったばかり」と答えてくれました。それから「ウィグルから来たと聞いたよ、いつからここで働いているの?」と尋ねてみました。彼女は「1ヵ月前に避難してきた」と教えてくれました。そして涙を堪えながら「私には、帰る国もない、帰れる場所ももう無い・・・」と教えてくれました。私は、辛いことを思い出させてしまったと、彼女に謝りました。彼女は一生懸命に笑顔をつくりながら「父や母もどうなっているか分からなくて、でもきっと無事でいると思う」と話してくれました。

その話を聞いた私は、カンボジアの内乱の歴史と共に「国際ガールズ・デー※1」の事がふと頭に浮かびました。世界には、戦争や紛争でたくさんのこどもたちの様々な権利が否定されていることは知識としては知っていましたが、今、目の前にいる少女が置かれている状況が「現実の話なのだ」とすぐには自分の中に落とし込むことができませんでした。その場には、彼女と同世代の日本人の若者たちも一緒に居たのですが、彼らも彼女の置かれている状況をすぐにはのみ込めずにいる様子でした。

ホテルに帰ってから、日本人のある女の子が「自分たちには想像もできん世界やし、まだ信じれん。世界にはこんな子たちがいっぱいおるんかなぁ。私にできることってあるかな・・・」と思いを聞かせてくれました。

私は、カンボジアで彼女と出会ったことで「権利」や「人権」について、日常の中での気づきや疑問をもつことが増えたように感じています。すべての人に等しくあり、私たちを守ってくれる「権利」や「人権」、自分を大切にする、相手を大切にするためにも「権利や人権はなぜ大切なのか」「自分には何ができるのか、自分はどう生きていくのか」しっかり向き合いたいと感じる10月の昼下がりです。

ピアサポートとくしまの相談では「自分を大切にする」そんなお手伝いをしておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。

 

※1
毎年10月11日の「国際ガールズ・デー_International Day of the Girl Child _」は、2011年12月19日に国連総会で正式に決定された、世界中の女の子たちを力づけるための国連デーのことです。「女の子の権利」や「女の子のエンパワーメント※2」の促進を、広く国際社会に呼びかける日とされています。途上国では女の子の多くが経済的、文化的な理由により学校に通えず、10代前半での結婚を余儀なくされ、貧困の中で暮らしています。先進国でも、女の子にはさまざまな社会的制約が存在します。しかし、適切な教育と支援を受けることができれば、女の子たちの可能性は無限に広がり、未来は大きく変えることができます。「国際ガールズ・デー」には、世界各地で女の子自らが声をあげ、彼女たちを応援するイベントやアクションが行われています。

※2
エンパワーメント:女性が人生におけるあらゆる選択肢を自分の意思で選びとり生きていくために必要な力、男性と対等に家庭内や社会の意思決定に参画する力をつけること。

 

参考・引用:https://www.plan-international.jp/girl/girlsday/(プランインターナショナル)
https://www.ywca.or.jp/news/japan/riseup-event231011 (日本YWCA)
https://www.joicfp.or.jp/jpn/(JOICFP/ジョイセフ)

(文責:なるちゃん)

 

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