【サポーターコラム】助けを求める大切さ

助けを求める大切さ

ピアサポーターのちーです。
どうしても映画ネタばかりになってしまいますが、今回取り上げるのは「ルーム(ROOM)」という映画。カナダで撮影された、実際にあった事件をモチーフにした映画です。

前半はとてもつらいストーリーで、私は衝撃を受けました。しかし後半、状況が展開します。ご紹介したいのは、この部分です。

主人公の男の子、ジャックが助けを求めるシーンがあります。

通報を受けた女性の巡査は、パトカーの中でジャックに話しかけ、彼が何を訴えたいのか少しずつていねいに引き出していきます。

限られた人としか話したことのないジャックが、ぽつ、ぽつ、と発する言葉に対し、この女性巡査がかける言葉が、私にはとても印象的でした。

「お話しが上手ね」(Good!It’s OK,Jack.)

とてもさり気ない表現ですが、この日本語訳もいいですし、不安のただ中にいるジャックには、どんなにか心強い言葉だったと思います。この人は聞いてくれる、話しても大丈夫だと。

そして自分がこの巡査の立場だったら、こんなにさりげなく、相手を励まして話を聞き出せるだろうかと考えてしまいました。

運転席にいる別の警察官は、「親がヒッピー系なんじゃないか」「児童保護局に連絡しよう」などと、予断で決めつけて解決しようとしますが、この巡査パーカーは、言葉だけで、ジャックから驚くべき事実を引き出し、長きにわたる事件を解決に導いていきます。

相談を生業としている身として、またピアサポーターとして活動している者として、「相手の話を聴く」ということの難しさと大切さ、かける言葉の選び方と、それが即座に出るようにしておくこと(これはトレーニングあるのみだと思います)について、深く考えさせられる場面でした。

そして、この場面の前にジャックがか細い声で振り絞るように出した「Help!(助けて)」という言葉も忘れられません。

日本人は受援力(助けを求める力)が弱いそうです。助けを求めることは、思った以上に難しいものだと、事あるごとに気づかされます。それでも、だからこそ「助けて」と声を上げることをためらわないでほしいです。その先にはきっと、ジャックが見たような青い空が広がっていると思います。

(文責 ちー)

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